小説の書き方講座

小説の書き方講座 その4「設定を考える」

どーも、やぎさんです。

今回は、割と皆さんが大好きであろう「設定を考える」ことについて、書いていきたいと思います。

「知ってる!」「設定はたくさん作ってる!」

たぶん皆さん、そんな感じでこの回を読み飛ばしちゃいそうですね。

でも、「設定」って、本当はめちゃくちゃシビアなのを理解していますか?

今回は「設定」とは本来何なのかを説明していきます。

作品の文章が読者への情報ならば、設定は作者への情報

「設定」はきっちりやっていないと、小説が途中で書けなくなります。

ショートショートくらいなら大丈夫ですが、長編は確実に途中で止まります。

プロの先生方が言われる「キャラクターが勝手に動く」というのは、簡単にいえば「勝手に動くレベルで設定を作りこんでいるから」なんです。

キャラクターの設定が甘いと、ストーリーの途中で元々のイメージから離れたセリフを言ってしまったり、今までとは違うおかしな行動をしてしまうことで、ファン離れをも引き起こします。

世界観の設定が最初からしっかりと出来ていないと、以前に書いた内容との食い違いが出て来て、そこを何とかしようと考えている内に筆が止まります。

設定は、「書くための資料」としっかりと認識しましょう。

設定:登場人物編

皆さん、名前とか身長とか生い立ちとかを頑張って設定すると思うんですよ。

しっかり設定するのは良いですが、まずは「それが本編を書く上で必要な情報か?」ということを考えて下さい。

ビジュアルを描く上で決める設定の注意点

身長は180センチだ!と設定しても、世界観の中での長さの単位はセンチメートルでしょうか?

小説の本編で書きますか?

その世界の平均身長は何センチですか?

実際のところ、小説を書く上では「何センチか」という数字よりも、他の登場人物との身長の差異を設定する方が大事です。

話す時に目線が合うのか、ずれるのか。上目遣いになるのか、見下ろす形になるのか。そういう、文章を書く上で大事な情報であるかを設定で決めていきましょう。

もちろん、それを作者として明確にするために、数字を決めるならばOKです。

他は、目鼻立ちですね。

「美形」と一言で書くと、釣り目の美形なのか、タレ目の美形なのか、目は大きめなのか小さめなのか、顔は丸いのか長いのか、鼻は通っているのか、などなど、思い描く美形って様々なんですよね。

更にいえばその「美形」という設定、本編の中で役に立つでしょうか。

出てくる老若男女全てが主人公の顔にメロメロになるとか、女の子にすごくもてるとか、そういう描写をするのでなければ「美形」という設定が後で邪魔になることもあります。

「ただしイケメンに限る」というようなネットスラングがあるように、顔が良いことに対するリアクションを周囲の登場人物にとらせないのであれば、「美形」という文章は必要ないと思うんですよ。

挿絵や表紙を依頼する時は、基本的に美形に描いて貰えますから!大丈夫!

他にキャラクターを描写する時に、声の高低や表に出ているクセ、性格はともかくとして、表情を表に出す方なのか、隠す方なのか…なんかも決めておくと、文章を書く時に役立ちます。

もしも理想の声優さんがいるなら当てはめるのもOKですが、その「声」がどういう声なのか文章で書けるようにしておきましょう。

内面や性格を決める設定の注意点

「熱血」とか「クール」とか、簡単に決めてしまうと、後で後悔します。

特に性格は「セリフ」や「行動」を決める上で最重要の設定になってきますので、しっかりと設定していきましょう。

少し難しいことをいいますが、性格を設定するということは、そのキャラクターの

物事に直面した時の思考回路と、物事の優先順位の決め方

を考えていくということです。そう、すごく!難しい!んですよね…

これに関しては、本編を書きながら少しずつ形成されていく面もありますし、元々こうだったけど、このキャラクターのこういう面を見て変わった、この事件があって変わった、などなど、柔らかく考えていくことも可能ですし、小説を書く上での醍醐味でもあります。

この「性格」を考える上で、生い立ちを考えていくかと思うのですが…

生い立ちは考えるのは簡単なのですが、今現在のキャラクターが延長線上に存在することを忘れてはいけません。

「今は筋骨隆々ムッキムキな人が、実は子どもの頃は飢えた村で育った…」という生い立ちを作るとしましょう。

年齢をある程度重ねた読者は「子どもの頃に飢えてたら元々の骨も細いし、大人になってから鍛えてもこんなに筋肉つかないよ」とか考えてしまうんですよね。

「実は貴族の出で…」という生い立ちを作ると、粗野で乱雑なキャラクターにする場合、もうその「貴族」自体が文化があまりにも違う国だったり、本人にあまりにも大きな事件が降り掛かったと考えるしかありません。もちろんその事件もある程度作らないといけなくなります…

ものすごく現実的に考える必要はないのですが、ある程度はリアリティのある生い立ちを考えていく方が、読者からいらないツッコミを受けるのを防ぐことが出来ます。

世界観編

これに関しては、現代に沿った世界観にするのか、ファンタジーにするのか、日本にするのか外国にするのか、色々なバージョンが考えられます。

個々人で違うと思いますので、ざっくりといきましょう。

まず必要なのは世界地図です。とはいっても、俗にいう私たちの世界地図ではありません。

キャラクターが移動する範囲を定めるマップですね。

京都で事件を解く話ならば、京都のどのへんを移動するのか?

ファンタジーの世界観ならば、俗にいう世界地図を作っても良いのですが、まずは本編でキャラクターが移動する範囲の分から作った方が良いです。

次に、世界観の中を移動する手段を設定します。

現代社会で車やバイクを使うのか、電車を使うのか、ファンタジー世界で徒歩なのか馬なのかドラゴンなのか、といったものです。

そして通信・連絡の手段ですね。

現代の大人なら大体スマホがありますが、さて、現代でも主人公が小学生だったり、幽霊や妖怪、異種族と通信する場合、スマホは使えるでしょうか。

他には、「ケータイは持たない」という主義を貫く、偏屈な若き大学教授(美形)とかですかね?(笑)

長編小説であれば、複数の登場人物を書くかと思いますので、連絡手段は設定しておいた方が良いです。ファンタジーならなおさらですね。

他にもいくつかあるのですが、ファンタジーなどの異世界・文化の異なる異歴史(日本の江戸時代に不思議な力が使えたりとか)を書く場合に決めておいた方が良いことを書いていきます。

  • 周囲に異種族コミュニティを含む他国はある?あるとしたら、文化はどれほど違うのか?
  • 政治はどんな感じ?身分制度などはあるのか?

少し難しい感じもしますが、これらの目的はただ一つ。

登場人物の共通認識・考え方を決めるためのものです。

例えば近くにモンスターの村があって、ちゃんと国交や貿易をしながら共存しているのであれば、森でモンスターに遭遇してもいきなり攻撃したりしませんよね。

でも、遠くの国で長らくモンスターと戦争をしている国のキャラクターなら、文化の違いが分からず、遭遇したら切りかかってトラブルを起こすかもしれません。

王様のいる国であれば、政治は王様や周囲の大臣で行われているでしょうし、軍が国を仕切っているのが常識の世界なら、「軍人に逆らうのは危険」といった共通認識が生まれます。

魔法や不思議な力も、使える世界観であれば仕組みなども簡単に設定しておきましょう。使える・使えない理由を考えるのに有効です。

作中での「皆の常識」を決めるのは大事なので、ここまで細かくはなくても良いのですが、ある程度は決めておく必要があります。

「設定」は書かなくても作る必要がある

さて、ここまで細かいことを書いて来ました。

設定を作るのが実は大変、というのがちょっと分かって来たと思います。

しかし、大変なのは実はここから。

設定、すごく頑張って作らないとダメなんですけどね。

作ったからといって、全部作中に出すのはダメです。

もちろん、本編に必要な部分は出しても良いのですが、作中に世界観の設定をだらだら書かれると、読者の8割は飽きます。

魔法の仕組みや、どうやったら使えるかなんて、冒険ものの本編なら説明するシーンをわざわざ作らないと書けないと思います。

最初に説明しましたが、「設定」=「書くための資料」です。

これは「作者のための情報」なので、作品本編に必要ないものは本編を書く上で削らないといけません。

そうしないと、読者に提供できる面白い作品に仕上がりません。

もうお分かりになったと思うのですが、「設定」って自分で自分のために資料を作る作業なんですよ。

生みの苦しみの第一段階、ともいえるものです。

1つの「設定」を、ショートショートで描いてみる

この方法は、設定を補強するのにも有効ですし、小説を書く訓練にもなるので、是非試して頂きたいと思います。

その作った「資料」で、自分がきちんと小説が描写出来るかを試す感じですね。

特に愛着を持ったキャラクター設定を書く上では、めちゃくちゃ楽しいのでオススメです。

★やり方★

1.キャラクターを1人、もしくは2人選ぶ

2.そのキャラクターに、「本編では書けない状況」を与えてみる

3.描写していく

2.が難しいかもしれないんですが、何でも良いんです。

例としては、自室に帰って来てお風呂に入って寝る、とか。近所のお店で食事をとる、とか。単純に移動をしているだけとか。

なるべく場所は固定で、キャラクターをしっかり描写出来る方が楽しいですね。

さっき一例に出した「ケータイを持たない主義を貫く美形の偏屈な若き大学教授」が、何か性格的に蕎麦屋で昼食をとりそうなのに、ゼミの学生にパンケーキ屋の予約の人数合わせに連れていかれる様とか、考えるだけで楽しそうじゃないですか?

キャラクターは色んなシチュエーションを与えて反応を見ると、思考回路や優先順位のつけ方を補強していくことが出来ます。

これを繰り返すと、最終的に「キャラが勝手に動く」までになります。

小説の書き方講座:第四回まとめ

いかがでしょうか。

少し難しくなってきたかと思うんですが、「悩んだらとにかく書いてみる」のが良いです。

ぶつかる壁がどこにあるのかを把握するのも、本当に大事です。

次は長編のまとめ方について、書いていきます。