小説の書き方講座

小説の書き方講座 その5(Ⅱ)「一本道でない長編のまとめ方」

どーも、やぎさんです。

今回は「小説の書き方講座 その5『長編のまとめ方 長編はエピソードの積み重ねで描く』」では別枠とした、「スポーツ・職業・日常系」の長編のまとめ方です。

小説の書き方講座 その5「長編のまとめ方 長編はエピソードの積み重ねで描く」どーも、やぎさんです。 今回は「長編のまとめ方」を書いていきます。 実はこれまでの講座を、全部きちんと実践しつつ書くことの経...

基本的には普通の長編のまとめ方である「エピソードの積み重ねで書く」とあまり大差はないのですが、考え方が少し違うので、それを説明していきたいと思います。

一本筋の物語のない長編を書くということ

「終わり」のない物語

いわゆる「始まり」と「終わり」のないお話の書き方ですね。

色々なテーマがありますが、分かりやすくミステリ(職業系)で例えてみましょう。

シャーロック・ホームズや浅見光彦、サスペンスドラマやシリーズ映画で例えると、主人公は「探偵だから」「フリーライター(事件体質)だから」「刑事だから」「新聞記者だから」「秘密諜報員だから」、毎回事件に巻き込まれるわけですよね。

1クールのTVドラマだったり、映画だったりすれば「いずれ父さんを殺した犯人を捕まえるんだ!」という、熱い目標で刑事になった主人公もいるのですが、この子には「終わり」のある物語が描かれています。

名探偵コナンのコナンくんは、毎回事件には巻き込まれていますが、黒ずくめの組織を倒して元の体に戻るという「終わり」があります。

例に挙げたシャーロックホームズは、最初は職業ミステリですが、途中でモリアーティー教授というライバルが出て来て、死んだりしていますが、あれは「途中から物語を発生させた」という、ちょっと特殊なパターンではありますね。

シリーズを続けるためにホームズを復活させて、また職業ミステリになっています。

でも、十津川警部は刑事だから捜査をしますよね。

イーサン・ハントや007は諜報員だから、いつも無理難題な仕事をしています。

ルパンは怪盗だからものを盗みますし、銭形警部は刑事でインターポール所属なので、怪盗であるルパンを追いかけます。

これらは主人公が引退しない限り、いえ、生きている限り永遠に描くことが出来る物語、長編になります。

「終わり」のない物語の「終わり」とは

前述で「職業もの」を例に出したのは、「終わり」のない作品の例として分かりやすかったためですが、こちらでは「スポーツもの」を例に出します。

スポーツものは「終わり」がふわふわ移動するテーマなのですが、何となく分かるでしょうか。

最初は甲子園を目指していた弱小高校の主人公が、次にプロを目指し、メジャーリーガーになって、次は監督試験とかを経て監督になり、所属チームが優勝して胴上げ…の後に、引退して少年野球チームの監督になって未来のメジャーリーガーを発掘し、最終的にお葬式にチームメイトや監督時代の選手、少年野球団が来る…ぐらいまでは描けますよね。

「始まり」が甲子園を目指していた作品の「終わり」が、お葬式で良いのかは分かりませんが…(汗)

つまり、こういった「終わり」のない物語を描く作品の「終わり」は、最終は主人公の生が終わるまで描けます。

もちろん時間軸を考えない職業ものなら、それこそ主人公は永遠に若いまま、「終わり」にはならないでしょう。

こういう長編を作るには、設定とエピソード出しが重要

「設定」がエピソード出し(ネタ出し)の鍵を握る

永遠に終わりのない職業ものを書くのは、設定が非常に重要です。

もちろん「女子高生の日常をゆるっと描く!」みたいな話も「『女子高生』という職業もの」です。

端的にいうと、まずは「作品のエピソードに出来るネタを、永遠に生み出し続けられる位置に主人公を据える設定にする」というのが重要になります。

いくつか例を挙げると「刑事」「探偵」「女子高生」「変な部活動」「冒険者」「妖怪退治屋(退魔師)」「万事屋」、とかですかね。

こういった作品のエピソード出しに関しては、この「設定」の部分の重要度が非常に大きいです。

「何でもあり」の話を作りたいなら、銀魂のような世界観の方にこだわった設定にする場合もありますし、ハルヒのように設定をキャラに寄せる感じで、近くに異世界の扉を開ける同級生でもいれば、女子高生日常ものでも時々ファンタジーネタが出来ます。

設定→エピソード→設定…の繰り返しが必要

基本的に、こういった長編は「ネタ=エピソード」がそのまま物語になりますので、まとめ方のコツのようなものはあまりありません。

ただし1つ注意したいのは、脈絡なくネタを出して描いたエピソードが、設定に繋がっていくことがあるということです。

書いたことを忘れない、というのが大事です。

そのため、思いついて書いたお話に何らかの設定を出したのであれば、設定はきっちり上書きしましょう。特に過去の話とか書いた時です。

更に、前に描いたエピソードから設定を上書きして、次の話に繋げるのもネタ出しの要素としては大事ですね。

ネタが尽きた時=物語が終わる時

こういった作品の少し寂しいところなのですが、要は、エピソード出しが出来なくなった時、つまりネタ切れの時は物語を描き続けられなくなってしまうことです。

また、ネタ切れだけでなく、プロならば人気が出なくなって打ち切り、趣味ならば単純に飽きた、というようなことも可能性としてあります。

前述したシャーロックホームズは、元々は職業ものだったところから、やがて「始まり」と「終わり」のある物語となり、その後、読者のラブコールに応える形で職業ものに戻りました。

コミック作品ならば、日常のギャグマンガのような作品から、バトルものやストーリーものに変化していき、最終回を迎えるものも多いです。

最初の設定にもよりますが、こういった「変容」に耐えられる設定の作品もありますし、どうしても無理な作品もあります。

特にプロ作品の「変容」は編集部の意向である場合も多いのですが、それが読者に受け入れられて人気が出る作品と、読者が離れてしまう作品がありますよね。

ネタが尽きて終わるか、「変容」させて続けるか、どちらに良い悪いもありませんが、「飽きて書くのをやめた」というのは、例え趣味で書いた作品であっても読者にとっては辛いものです。

ネタが切れ気味になったら、「終わり」を考えてみるか、変容させてネタの種類を変えるか、少し悩んでみて下さい。

短いエピソードを書く時のコツ

漫画表現であれば、1~2ページの短いエピソードを積み重ねることで日常を描いていけるのですが、小説ではSS(ショートショート)にするにしても、少し難しめではあります。

しかしこういった設定を使いたい方は、キャラクターを愛している場合がほとんどなので、出来れば特に長くないエピソードを書いてきゃっきゃっしたいと思います。分かります。

コツとしては、「ワンシーンのみを書く」ということを心掛けて下さい。

場所や時間を移動させてしまうのであれば、SSというレベルになるまで頑張って話を膨らませた方が良いです。

例としては「誕生日」をネタとして書く場合、

  • SSにまで膨らませるなら、1日単位ぐらいの時間経過で書く。
  • ワンシーンだけなら、ケーキのロウソクを吹き消すシーンだけとか、プレゼントを渡すシーンだけを書く。

あとは「ゆるくても良いので、何かオチをつける」ということですね。

寝ちゃったりも良いですし、家に帰って「ただいま」でも良いです。

とにかく「終わった」という符号がないと、読者は中途半端な気持ちになります。

「終わった」とか「終わりかー。これどうなったか続き読みたいなー」ぐらいの気持ちになるようなラストにしましょう。

終わりのない長編を書くコツや注意点

フィクションのエッセイのようなものと思って書く

「終わりのない長編」というのは、プロになれば求められることもありますが、趣味でこういった作品を書く場合、フィクションのエッセイを書くのに似ています。

エッセイは作者の日常ですが、こういった作品は「主人公の日常」になるわけです。刑事なら事件解決に奔走するのが日常ですからね。

その中に「エピソード」を見出して、作品にしていくわけですね。

こういう風に考えると、作者であるあなたの日常からも少しずつネタが生まれます。

「終わり」を決められない作品になってしまうかも?

こういった作品が終わるのは、作者が筆を折った時や生が終わる時と思っている方も多いと思うのですが、違います。

だって「ドラえもん」も「クレヨンしんちゃん」も続いてますよね。毎年、映画も作られていますし。

「おそ松くん」も「おそ松さん」になったばかりです。

作風にもよりますが、作者が亡くなっても続く可能性のあるものだと思って下さい。

作品が自分の手を離れる可能性があるので、それが嫌な方は、生きているうちに「終わり」を描いておきましょう。

小説の書き方講座:第五回(Ⅱ)まとめ

いかがでしたでしょうか。

どこまででも、いつまででも続けられる作品は、キャラクターがしっかりしていればある程度続けられますが、思ったより難しいんですよね。

普通の長編よりも「設定」が命な部分もありますので、そこをしっかりと理解して書いていきましょう。